診療支援
治療

サンスクリーン
Topical sunscreen
錦織 千佳子
(神戸大学名誉教授)

【概説】太陽光の人体への悪影響を避けるのを目的に光防御という概念が普及してきた.衣服や帽子あるいは日傘など遮光のための製品の開発が進み,その遮光能力も向上しているが,衣類や道具を用いた遮光だけでは不十分で,地面や壁などからの照り返し,顔面や頸部,手背などの露光部に対応するためにはサンスクリーンの外用が,確実で優れている.サンスクリーンの要件として挙げられるのは,①十分な遮光効果をもつこと,②安全性,すなわち接触皮膚炎や光接触皮膚炎を惹起しにくい素材を用いていること,③海やプールなどで使用する際には耐水性であることの3つである.加えて④使用しないと意味がないので,塗布しやすい,使用して目立ちにくいことも重要な要件である.

【適応】健常者の光老化の予防と光線過敏症患者での厳格な光防御の両方の用途がある.それぞれの用途によってサンスクリーンの選択が異なる.光線過敏症に対しては,その疾患の作用波長(UVAかUVBか可視光線か)を勘案したサンスクリーンが必要となるが,最近のサンスクリーンは,UVAフィルターとUVBフィルターを組み合わせて広域をカットしているものが多い.ただ,可視光線をカットできるものは少ないので,可視光線を作用波長とする光線過敏症であるポルフィリン症や日光蕁麻疹でサンスクリーンを用いる場合には,色のついたファンデーションタイプのものか,散乱剤(無機系素材)を多く含んだものを選ぶとよい.

【薬剤】有機系素材と無機系素材を組み合わせて成分が構成されており,それぞれの物質が防御しうる波長の総和がそのサンスクリーンの防御能になる.①有機系素材(図3-5):有機系素材は紫外線吸収剤ともいわれ,固有の紫外線吸収波長を有するそれぞれの物質の紫外線吸収作用によって,光防御の効果を発揮する.UVB吸収作用の高い有機系素材には,パラアミノ安息香酸(PABA:para-aminob

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