診療支援
治療

古典的外用薬(基礎膏)
Classical ointment
吉川 義顕
(北野病院主任部長)

【概説】ステロイド外用薬の出現以降に開発された外用薬を「新型外用薬」,それ以前から使用されていた外用薬を「古典的外用薬」として扱う.今では古典的外用薬は基剤として使用されることが主流であるため,古典的外用薬と基剤を同じと考えて問題はなく,治療薬として選択される頻度は減ってきている.とはいえ,古典的外用薬を上手に使うことで,単独使用でも十分な治療効果を上げることができるうえに,新型外用薬と併用することによって治療効果を増強させることもできるので,使い方や適応となる皮膚症状を含め知っておくと便利である.例えば,亜鉛華軟膏や亜鉛華単軟膏などの酸化亜鉛を含んだ外用薬は,今なお使用頻度の高い古典的外用薬の代表である.

【外用薬の構成成分】外用薬は主薬と医薬品添加剤から構成され,医薬品添加剤には基剤成分とそのほかにも防腐剤など多くの成分が含まれる.主薬とは製剤に配合される薬物であり,薬効を発揮するものである.基剤が担う役割には,主薬の有用性を高める,主薬の安定性を確保する,外用局所の保護作用,使用感の向上などがあり,外用療法の治療効果を高めるためには,皮膚病変に応じた適切な基剤を選択することが重要である.

【古典的外用薬の種類】

1.粉末剤

 植物性のデンプン,鉱物性の亜鉛華(酸化亜鉛),タルク(ケイ酸マグネシウム),動物性の貝粉がある.例えば,亜鉛華デンプンは亜鉛華とデンプンが等量混合されたもので,軟膏などを塗布した上から散布したり,失禁関連皮膚炎に使用される.

2.液剤

 以前からある液剤として溶液と振盪合剤がある.溶液(solution)とは薬剤が水やアルコールなどに溶け込んでいる状態である.振盪合剤(lotion)とは液体に粉末を懸濁させたもので,痤瘡の治療などに使用されるイオウ・カンフルローションはこれに相当し,混合物が沈殿しているため,よく振ってから使用する.

3.軟膏

 油脂性軟膏,乳剤

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