Ⅰ レチノイド
【概説】レチノイドとは天然型ビタミンAおよびその誘導体の総称である.本邦ではチガソンが内服薬として主に角化性皮膚疾患に使用されている.チガソンは脂溶性で脂肪に蓄積されるため,半減期が100日以上と長い.レチノイドの作用機序は核内のレチノイド受容体を介した転写調節による.例えば乾癬では,レチノイドが表皮角化細胞に働くと,角化細胞の正常な分化を誘導するとともに異常な増殖を抑制すると考えられている.乾癬に使用する場合は病型によって効果が異なり,特に膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症で効果が高い.
【適応】乾癬や掌蹠膿疱症をはじめとして,さまざまな角化性疾患の治療に用いられる.保険適用があるのは乾癬群(尋常性乾癬,膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症,関節症性乾癬),魚鱗癬群(尋常性魚鱗癬,水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症,非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症),掌蹠角化症,Darier病,掌蹠膿疱症,毛孔性紅色粃糠疹お