診療支援
治療

BRM,サイトカイン
Biological response modifier,Cytokine
並川 健二郎
(国立がん研究センター中央病院医長)

Ⅰ 天然型インターフェロンベータ製剤(フエロン)

【概説】インターフェロン(IFN)はサイトカインの一種であり,結合する受容体の違いからⅠ型,Ⅱ型,Ⅲ型に分けられる.ヒトⅠ型IFNは産生細胞などの違いからIFN-α,β,ωに分けられ,ヒトⅡ型IFNはIFN-γを指し,医薬品としては,IFN-α,β,γが製剤化されている.従来,抗ウイルス作用のみが知られていたが,その後抗腫瘍作用も有することが見いだされた.天然型IFN-β(フエロン)は,わが国では悪性黒色腫に対する術後補助療法として頻用されてきたが,実施の根拠は不十分であり,現在,日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG:Japan Clinical Oncology Group)で検証的臨床試験が行われている.しかしながら悪性黒色腫の術後病期Ⅲ期については,2018年にBRAF阻害薬であるダブラフェニブ(タフィンラー)とMEK阻害薬であるトラメチニブ(メキニスト)の併用療法,抗PD-1抗体であるニボルマブ(オプジーボ),抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(キイトルーダ)が術後補助療法としての追加承認を得たことから,IFN-βが用いられる機会は年々減少している.

【適応】皮膚悪性黒色腫.

【使用方法】フエロン300万IUを1日1回,添付の溶解液または塩酸プロカインで溶解し,皮膚転移巣に用いる場合は腫瘍内に投与し,術後補助療法として用いる場合は原発巣切除後の術創周囲に1日1回投与する.投与頻度や間隔に決まりはないが,5~10日間の連日投与を1~2か月ごとに実施するレジメンや,月1回程度投与するレジメンが用いられることが多い.

【副作用】主な副作用として,発熱,注射部位の発赤や腫脹があり,解熱鎮痛薬の内服や注射部位のクーリングで対処する.時に,全身倦怠感や白血球減少をきたすことはあるが,IFN-αの全身投与でみられるような,肝機能障害,うつ

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