病態
基本的には成人アトピー性皮膚炎と同様である(→,「成人アトピー性皮膚炎」の項参照).
【臨床症状】①乳児期には主として頭皮や顔に湿疹がみられ(図4-8)図.顔面の症状に遅れて,頸部や腋窩など間擦部にも湿疹がみられるようになる.どの部位においても,病勢が強いとびらんを伴う.②幼小児期には,顔面の皮疹は減少し,頸や肘・膝関節の屈側,腋窩,鼠径部,手関節部など擦れやすく汗がたまりやすい部位に湿疹が好発するようになる.体幹,四肢には乾燥皮膚や鳥肌様の毛孔一致性丘疹がみられる.
診断
【問診で聞くべきこと】基本的には成人アトピー性皮膚炎と同様だが,特に抗炎症外用薬による治療で軽快しない場合には,食物の摂取と皮疹の悪化の関連について詳しく問診する.乳児では2か月以上,幼児期以降は6か月以上左右対称性の湿疹が続くことがアトピー性皮膚炎の診断の根拠の1つになるので,湿疹の経過を聞く.
【検査とその所見】①乳児期には鶏卵,牛乳,小麦などの食物アレルゲン,年長児以降はダニやハウスダスト,ペットなど吸入アレルゲンに対するアレルゲン特異的IgE抗体価が陽性になることが多い.②血清TARC値は,末梢血好酸球数や血清LDHよりも病勢をより鋭敏に反映し,血清TARC値を参考に治療方針の見直しを行うことも可能だが,年齢によって基準値が異なる〔2歳以上:743pg/mL未満,小児(1歳以上2歳未満):998pg/mL未満,小児(6か月以上12か月未満):1,367pg/mL未満〕ため注意が必要である.
治療
基本的な治療の考え方は成人と変わらないが,小児は重症度に応じた治療によって比較的短期間で寛解状態に導けることが多い.
治療の基本方針は成人アトピー性皮膚炎と同じである.
特に乳幼児や小児において,年齢によってステロイド外用薬のランクを下げる必要はないが,乳幼児や小児では短期間でステロイド外用薬の効果や副作用
関連リンク
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