診療支援
治療

おむつ皮膚炎
Diaper dermatitis,Napkin dermatitis
中嶋 千紗
(近畿大学医学部講師)

病態

 おむつ皮膚炎とは,おむつを着用している皮膚に起こる炎症で,刺激性接触皮膚炎の一種である.接触皮膚炎(いわゆる「かぶれ」)は,皮膚科の外来診療において最もよく目にする疾患の1つであり,大きく2つに分けられる.抗原非特異的な反応で起こるものが刺激性接触皮膚炎であり,抗原となる原因物質の曝露により発症するものがアレルギー性接触皮膚炎である(,「アレルギー性接触皮膚炎」の項参照).刺激性接触皮膚炎が,接触皮膚炎全体のなかで,80%を占めるという報告もある.アレルギー性接触皮膚炎の病態は比較的よく解明されているが,刺激性接触皮膚炎に関しては不明な点も多い.

 刺激性接触皮膚炎では,角層が損傷しバリア破壊が起こり,刺激物質が表皮内に入り込む.表皮ケラチノサイトから「危険シグナル」とよばれる炎症性メディエーターやケモカインなどが放出される.炎症性メディエーターやケモカインとしては,TNF-α,IL

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