診療支援
治療

自家感作性皮膚炎
Autosensitization dermatitis
河井 一浩
(新潟医療生活協同組合木戸病院部長)

病態

 原発巣である湿潤性の湿疹病変または感染症や潰瘍など湿疹以外の炎症性皮膚病変から離れた部位に,急性湿疹病変(撒布疹)が2次的に播種する現象である.原発巣が皮膚病変であり,かつ撒布疹が湿疹病変の場合に限定して用いられる診断名であり,原発巣が皮膚以外の感染病巣であったり,撒布する皮疹が膨疹や多形紅斑の場合は自家感作性皮膚炎とはよばない.原発巣としては,うっ滞性皮膚炎,貨幣状湿疹,下腿潰瘍,接触皮膚炎(刺激性,アレルギー性の両者),アトピー性皮膚炎などが多い.

【病因・発症機序】「自家感作」すなわち原発巣で生じた自己の変性表皮蛋白を抗原とした免疫反応によるという考え方は,現在では否定されている.以下のいずれかの機序により発症する.①皮膚の被刺激性の亢進:原発巣で産生されたサイトカイン,ケモカインなどを介して原発巣以外の皮膚における湿疹反応の閾値が低下することにより,刺激性の湿疹病変が生じる.パ

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