病態
原発巣である湿潤性の湿疹病変または感染症や潰瘍など湿疹以外の炎症性皮膚病変から離れた部位に,急性湿疹病変(撒布疹)が2次的に播種する現象である.原発巣が皮膚病変であり,かつ撒布疹が湿疹病変の場合に限定して用いられる診断名であり,原発巣が皮膚以外の感染病巣であったり,撒布する皮疹が膨疹や多形紅斑の場合は自家感作性皮膚炎とはよばない.原発巣としては,うっ滞性皮膚炎,貨幣状湿疹,下腿潰瘍,接触皮膚炎(刺激性,アレルギー性の両者),アトピー性皮膚炎などが多い.
【病因・発症機序】「自家感作」すなわち原発巣で生じた自己の変性表皮蛋白を抗原とした免疫反応によるという考え方は,現在では否定されている.以下のいずれかの機序により発症する.①皮膚の被刺激性の亢進:原発巣で産生されたサイトカイン,ケモカインなどを介して原発巣以外の皮膚における湿疹反応の閾値が低下することにより,刺激性の湿疹病変が生じる.パッチテストにおけるexcited skin(angry back)症候群は同様の機序による.皮膚の被刺激性の亢進に基づくものでも撒布疹がアレルギー性の湿疹病変である場合は,アレルギー性接触皮膚炎そのもの,あるいは以下のいずれかの機序の関与を考える必要がある.②id反応:細菌疹,白癬疹などの感染病巣に伴うid反応と同様に病原微生物由来の分子に対する免疫反応によるものであり,原発巣に感染した細菌,真菌などに由来する分子が血行性に撒布されて生じる.病原微生物由来の分子は抗原として認識されるほか,スーパー抗原として働く場合や自然免疫系のレセプターを介して皮膚の被刺激性の亢進に関与する場合もある.③接触皮膚炎症候群:アレルギー性接触皮膚炎による原発巣に対して原因物質である外用薬や消毒薬などの使用を続けることにより,原発巣から吸収された抗原が血行性に撒布されて生じる.④全身性接触皮膚炎:アレルギー性接
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