病態
異汗性湿疹は,異汗状湿疹,汗疱,汗疱状湿疹ともよばれ,手掌・足蹠にみられる.臨床像を反映したacute and recurrent vesicular hand dermatitisという疾患概念が最近提唱され,手湿疹の1型と位置づけられている.
【病因】春や夏に好発することより,汗との関連が示唆されてきた.汗の貯留と考えられていたが,病理組織学的検討により表皮内汗管との関連はない湿疹反応との考え方が一般的である.病理組織学的には表皮内汗管の拡張,その周囲の表皮の細胞間浮腫,海綿状態がみられることが多い.異汗性湿疹の病因としてアトピー性素因,金属アレルギー,免疫グロブリン大量療法後など薬剤の関連などが報告されている.
【臨床症状】(図4-13)図手掌,手足指腹部,手足指側縁部,足縁部に両側性に小水疱が多発し,強い瘙痒を伴う.水疱は乾燥し,落屑,角質剝離が出現し,消褪するが,再発を繰り返すことが多い.
診断
春や夏に増悪することが多く,手掌,手足指腹部,手足指側縁部,足縁部に両側性に小水疱が多発し,強い瘙痒を伴うという特徴から診断がつく.
【金属アレルギーとの関連性について】金属アレルギーには皮膚に接触した金属が皮膚炎を起こす金属接触アレルギーと,食物や歯科金属に含有される微量金属が消化管などから吸収されて起こる全身型金属アレルギーとがある.全身型金属アレルギーによって惹起される皮疹のなかで最も頻度の高いものが異汗性湿疹である.
【全身型金属アレルギーの関与があるか否かに対する診断】まずスタンダードパッチテストアレルゲン,金属アレルゲンシリーズなどを用いて,上背部などに閉鎖パッチテストを施行し,48時間後に剝がしてday 2,day 3,day 4,day 7に判定する.ただし,パッチテストには偽陰性や偽陽性があるため,本来は金属内服テストが必要である.異汗性湿疹と関連性の強い金
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