診療支援
治療

特徴的な皮膚炎
Characteristic dermatitis
大塚 篤司
(近畿大学主任教授)

病態

 特徴的な皮膚炎をきたす代表的な皮膚疾患には,キク皮膚炎,シイタケ皮膚炎,水銀皮膚炎がある.キク皮膚炎は,alantolactone(helenin)が原因物質である.また,水銀による接触皮膚炎は,チメロサールが原因物質である.シイタケ皮膚炎は,シイタケ子実体から熱水抽出,精製される抗腫瘍性多糖体のlentinanが原因物質として有力だが,特定されるまでには至ってない.


診断

 問診から原因物質を割り出し,パッチテストにて診断を確定する.

【鑑別診断で想起すべき疾患】アトピー性皮膚炎,日光皮膚炎,日光過敏症,慢性多形日光疹,その他の接触皮膚炎,皮膚筋炎,薬疹,内臓疾患に伴う皮膚炎.

【臨床症状からの診断】①シイタケ皮膚炎(図4-16):加熱不十分な生シイタケを摂取後,数時間から2,3日以内に強い瘙痒が出現する.搔破痕に一致した線状,播種状に配列する直径1~2mm程度の孤立性または集簇性の紅斑性丘疹,もしくは隆起する浮腫状紅斑である.②キク皮膚炎(図4-17):皮疹は主に露出部に出現し,キクを扱う季節に増悪する.皮疹は落屑を伴った浸潤性の紅斑.③水銀皮膚炎(図4-18):局所性と全身性に分類される.局所型の水銀皮膚炎の原因として多いのは,マーキュロクロムやチメロサールである.マーキュロクロムは,別名赤チンとして怪我の消毒薬として長い間使用されてきた.2019年に赤チンはすべて製造中止となった.チメロサールは,ワクチンや点眼薬の一部に防腐剤として使用されている.全身性水銀皮膚炎はbaboon syndromeとよばれる.baboon syndromeは水銀のみならず,アンピシリンやニッケルでも起こる全身性のアレルギー反応である.

【必要な検査とその所見】血液検査で異常をきたすことはほぼない.シイタケ皮膚炎に関しては,特徴的な皮疹を見逃さずシイタケの摂取歴を聞き出すことが重要であ

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