病態
病態は明らかでない.Brachioradial pruritusやnotalgia parestheticaではそれぞれC5~C6,Th1~Th6神経が脊椎から皮膚に至るいずれかの部位で圧迫されて生じると推測されている.陰部瘙痒症では局所のsmall fiber neuropathyや陰部神経の圧迫なども考えられている.
診断
明らかな皮膚所見がなく体表面の限られた部位に固定して痒みを訴えるものである.
肛囲瘙痒症や陰部瘙痒症が多いが,まれに頭部,顔面に痒みを訴える(頭部瘙痒症)例もある.また帯状疱疹後に罹患部位に頑固な痒みを生じることや(post-herpetic pruritus),帯状疱疹発症前駆症状として神経支配領域の痛みよりも痒みを主体に訴えることがある.特殊型としてのbrachioradial pruritusは上肢のC5~C6領域の痒み,notalgia parestheticaはTh1~Th6領域の特に肩甲骨部付近の痒みを訴える.
治療
汎発性皮膚瘙痒症と同様に抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)の内服が行われる.また外用薬としてクロタミントン外用薬(オイラックスなど)や院内製剤としてメントールを配合したクロタミントン外用薬なども試みられる.接触皮膚炎の発症には常に留意する.カプサイシン軟膏(0.025~0.075%)(保険適用外)の外用が有効なこともある.Brachioradial pruritusやnotalgia parestheticaではカプサイシン軟膏のほかにタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏:保険適用外)の外用,アミトリプチリン(トリプタノール:保険適用外),ガバペンチン(ガバペン:保険適用外)の内服などが有効といわれる.
Px処方例 下記のいずれか,または併用する.
1)アレロック薬錠(5mg) 1回1錠 1日2回 朝,就寝前
2)カプサイシン軟膏