診療支援
治療

刺激誘発型の蕁麻疹
Inducible urticaria
田中 暁生
(広島大学准教授)

病態

 特定の刺激ないし条件が加わったときに症状が誘発される蕁麻疹であり,自発的に膨疹が出没する特発性の蕁麻疹とは区別する.症状の出現頻度は刺激の頻度によって左右される.皮疹の性状は蕁麻疹の病型により異なるが,遅延性圧蕁麻疹を除き個々の皮疹は数時間以内で消褪する.

【頻度】医療機関を受診する蕁麻疹全体のうち,物理性蕁麻疹はおよそ10%,コリン性蕁麻疹とアレルギー性蕁麻疹は数%であり,これらを含む刺激誘発型の蕁麻疹はおよそ25%を占める.

【病因発生機序】①アレルギー性の蕁麻疹:食物,薬品,植物などに曝露することによって起こる,特異的IgEを介した即時型アレルギー反応である.通常は抗原への曝露後数分から1~2時間以内に生じる.膨疹消褪後は再び抗原に曝露されない限り,自発的に症状が現れることはない.②食物依存性運動誘発アナフィラキシー:特定の食物を摂取後2~3時間以内に運動負荷が加わることにより生じるアナフィラキシー反応.原因食物としては小麦の症例が多く,年齢は10歳代の報告が多い.症状は非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs:non-steroidal anti-inflammatory drugs)により増悪することが知られ,運動負荷がなくとも原因食物とNSAIDs摂取の組み合わせで症状が誘発されることもある.③非アレルギー性の蕁麻疹:原因物質への曝露により症状を生じるが,アレルギー機序を介さない蕁麻疹.原因として造影剤,サバ,タケノコなどが知られ,誘発試験以外の検査による原因の特定は困難.④アスピリン蕁麻疹:アスピリンをはじめとするNSAIDsの内服,注射,外用によって誘発される蕁麻疹.非アレルギー性の蕁麻疹の一種であるが,構造の類似しない複数のNSAIDs,人工食品着色料,防腐剤などの化学物質に対しても過敏性を示すことが多い.アスピリン喘息と同じく,本症もNSAIDsのもつシ

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