診療支援
治療

慢性色素性紫斑
Purpura pigmentosa chronica
鬼頭 昭彦
(A*STAR Skin research labs research scientist)

病態

 原因不明の点状出血が主に下肢に多発し,慢性的に増悪と軽快を繰り返すうちに次第に褐色の色素沈着を残す.中高年に好発する.全身症状を伴うことはない.主に皮疹の分布形式から,Schamberg病,Majocchi病(血管拡張性環状紫斑),Gougerot-Blum病(色素性紫斑性苔癬様皮膚炎),瘙痒性紫斑,黄色苔癬に分類されるが,混在している症例も多い.Schamberg病の頻度が高い.

【病因・発症機序】うっ血による静脈内圧の亢進,毛細血管を脆弱化する要因の存在,などが原因として疑われているが,いまだ明らかではない.衣類の接触,病巣感染,薬剤などの関与を指摘する報告もある.

【臨床症状】①Schamberg病:中高年に多く発症し,やや男性に多い.下腿伸側に好発し,多くは両側性に生じる.病初期は点状出血から始まり,その後紅褐色斑を生じる.大きさはさまざまで境界は明瞭なことが多い.新生と褪色を繰り返し,慢性に経過しながら,徐々に色素沈着が目立ってくる.時に軽度の瘙痒を伴う.下肢静脈瘤を伴うことがある.②Majocchi病:20~50歳代に発症して,やや女性に多い.下腿伸側に好発し,多くは両側性に生じる.時に上肢や体幹にも生じることがある.毛細血管拡張による点状の紅色皮疹が集簇して円形病変を形成して遠心性に拡大する.拡大とともに中央は褪色して,拡張した毛細血管で縁どられた環状の皮疹を呈する.辺縁には軽度の鱗屑を伴うことがある.ほとんどの場合,瘙痒はない.③Gougerot-Blum病:中年の男性に多く発症する.下腿伸側に好発し,多くは両側性に生じる.上肢や体幹にも出現することがある.径2mmほどの苔癬状紅色丘疹が多数生じ,これらが集簇,癒合し多数の扁平隆起や不規則な局面を形成する.慢性化とともに,色調が紅色から紫紅色,褐色と変化する.瘙痒を伴うことが多い.④瘙痒性紫斑:中年の男性に

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?