診療支援
治療

血管の異常による紫斑
Vascular purpura
谷川 瑛子
(慶應義塾大学准教授)

病態

 血液検査で出血・凝固系に異常がなく,先天性に血管または結合織の異常,または血管支持組織の脆弱化により生じる紫斑である.

【病因・発症機序】全身性と局所性に分類される.前者に代表的なEhlers-Danlos症候群では血管壁成分であるコラーゲンの代謝異常により血管の脆弱化をきたし,ごく普通の行動でも出血斑と血腫を生じる.またコラーゲン合成に必要なビタミンC欠乏による壊血病は有名な疾患であったが,現代ではまれである.うっ血性紫斑は下肢静脈瘤症候群を併発していることが多く,血管内圧亢進によるうっ血が紫斑を生じる基盤となっている.一方,皮膚での血管支持組織の脆弱化によって生じる紫斑にステロイド紫斑,老人性紫斑がある.

【臨床症状】①ステロイド紫斑:長期のステロイド内服にて血管が脆弱化し,軽微な外傷で容易に大小さまざまな斑状の紫斑を形成する.打撲を契機に容易に広範囲の血腫を形成し,しばしば広範囲な

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