病態
紫斑をきたす明らかな素因または検査異常がなく生じる紫斑の総称.単純性紫斑,有痛性打ち身症候群,一過性の外的要因による内圧上昇によるもの(怒責性紫斑,陰圧による紫斑)などがある.またblack heelは悪性黒色腫との鑑別を要する,足底に生じた外的要因による紫斑である.
【臨床症状】①単純性紫斑:20歳代の若い女性の下肢に突然生じる点状紫斑で,1~2週間で自然消褪する.単純性紫斑のなかで,特に大きさが1~2cm,中心部淡青色,辺縁にやや黄色を帯びた斑状の紫斑が数個生じるものを“女子(再発性)深在性紫斑”といい,2~3週で自然消褪する.病理組織学的には真皮中・下層の出血であるが,原因不明である.②遺伝性単純性紫斑(Davis紫斑):常染色体優性遺伝性疾患で,単純性紫斑に類似するが,四肢の関節痛と全身の違和感を伴う.リウマチ因子陽性例が多いとされている.③有痛性打ち身症候群:自発痛,圧痛がある大小さまざまの紫斑が四肢に多発し,時に出血斑を認めるが,諸検査で異常は認めない.精神的な問題を伴っていることが多いとされている.④怒責性紫斑:激しい咳き込み,嘔吐,便秘時排便時の力みなどに上半身,または顔面,頸部に生じる点状出血を認め,数日で消褪する.⑤陰圧による紫斑:皮膚が吸引されたことによって生じる.子どもがコップを口に当てて強く吸引したあとに口囲に生じる環状の紫斑,心電図の吸盤などが代表的である(図7-3)図.⑥black heel:踵の側縁または後縁に生じる黒色斑で,踵または足にかかる強い外力により角層内に出血した結果,小さな黒色点状皮疹の集簇からなる皮疹.自然消褪するが,臨床的には悪性黒色腫との鑑別が重要となる.
診断
【鑑別疾患で想起すべき疾患】IgA血管炎,高γグロブリン血症性紫斑,紫斑型薬疹など.足底では悪性黒色腫.
【必要な検査とその所見】①出血・凝固系に異常のないことを確認
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