診療支援
治療

類乾癬
Parapsoriasis
小宮根 真弓
(自治医科大学教授)

病態

 類乾癬は,炎症性皮膚疾患の1つで,Unna,Brocqらの報告によりBrocqが初めて提唱した疾患概念であり,その後いくつかの変遷を経て疾患分類にやや混乱を呈していたが,現在,表9-2のような分類が一般的に受け入れられている.すなわち,局面型類乾癬と苔癬状粃糠疹に大きく2分し,それぞれ,大局面型と小局面型,慢性苔癬状粃糠疹と急性痘瘡状苔癬状粃糠疹に分類される.大局面型類乾癬は,現在では菌状息肉症の前息肉期(紅斑期)に相当すると考えられている.リンパ腫様丘疹症を苔癬状粃糠疹の一亜型とする考えもあるが,リンパ腫様丘疹症は,一般的にはCD30陽性リンパ球増殖性疾患に分類される.

【疫学】疫学データは乏しい.局面型類乾癬は,中高年に多く,ピークは50歳代にあり,男性に多いとされている.苔癬状粃糠疹は小児にも発症する.

【病因・発症機序】類乾癬の疾患概念は,皮膚T細胞リンパ腫と慢性皮膚炎を橋渡しする可能性のある重要な概念と考えられる.大局面型,小局面型,苔癬状粃糠疹ともに,リンパ球にモノクロナリティーが証明された症例が報告されており,これらをリンパ球増殖性疾患としてとらえることも可能である.ただし,モノクローナルなリンパ球の増殖がすなわち悪性ということではなく,これらの疾患のほとんどが良性の経過をたどる.皮膚のリンパ球増殖性疾患を良性と悪性を2極端とする1つのスペクトラムで考えれば,類乾癬は良性の極に位置するものとしてとらえることが可能である.そのなかの一部の症例で,モノクローナルなリンパ球の増殖が優位となり,皮膚リンパ腫(菌状息肉症)として進展する症例があると考えられる.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】落屑が主体の皮膚症状を呈することから,皮脂欠乏性湿疹と誤診されることがある.また,貨幣状湿疹,アトピー性皮膚炎,局面型乾癬,Gibertばら色粃糠疹などが鑑別に挙がる.

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