診療支援
治療

Gibertばら色粃糠疹
Pityriasis rosea Gibert
秋山 真志
(名古屋大学教授)

病態

 Tリンパ球を主体とする免疫反応により,非特異的な湿疹性変化を生じる.真皮でCD4陽性Tリンパ球の増加がみられ,ウイルス抗原に対する免疫応答が病態に関与していると推察される.

【頻度】比較的頻度の高い,一般的疾患である.10~30代前半の若年成人に多く,性差はほぼない.発症時期は夏に少なく,冬から春にかけて多くみられる.

【病因・発症機序】原因は不明であり,ウイルス・細菌などの感染症説や病巣感染アレルギー説,自己免疫説,遺伝的素因などが議論されてきた.潜伏感染していたHHV-6,またはHHV-7の再活性化の関与が示唆されている.BCG,インフルエンザ,ジフテリア,B型肝炎などのワクチンの接種後に,本症類似の皮疹がみられたという報告がある.また,カプトリル,メトロニダゾール,ペニシラミン,金,ヒ素などの薬剤や化学物質によって本疾患に似た皮疹を呈することもある.

【臨床症状】約5%の症例では,皮疹が出現する数日前から発症直前に,上気道感染の症状や,発熱,倦怠感,関節痛などの前駆症状を認める.初発疹は,径2~6cmの境界明瞭な楕円形の角化性の紅斑で,体幹に1つだけみられることが多く,herald patchとよばれる.複数のherald patchesがみられる場合もある.初発疹から数日~3週間以内に径1~2cmの大小不同な,辺縁に鱗屑を伴う楕円形の紅色局面が,皮膚割線(Langer割線)に長軸を合わせて多発し,体幹ではクリスマスツリー様の配列を示す.皮疹のみられる部位は,体幹と上腕,大腿までがほとんどで,四肢末端と頭部,顔面に皮疹が生じることはない.自覚症状はないことが多いが,25%前後の症例では瘙痒を伴う.皮疹は,1~3か月で自然消褪する例が多い.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】Gibertばら色粃糠疹様の皮疹を呈する薬疹,真菌感染症(癜風,体部白癬),梅毒2期疹,貨幣状湿疹,

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