診療支援
治療

妊娠性疱疹
Herpes gestationis,Pemphigoid gestationis
石井 文人
(久留米大学准教授)

病態

 妊娠を契機に発症する自己免疫性表皮下水疱症である.血中にBP180に対する自己抗体が検出され,本態は妊婦に生じた水疱性類天疱瘡と考えられている.

【頻度】妊婦のうち約10万人に1人が発症するまれな疾患である.発症は妊娠中期から後期,すなわち妊娠13週以降に発症することが多いが,初期または産褥期に発症する例もある.通常出産後1か月以内に自然に軽快することが多い.

【病因・発症機序】発症機序として明確なものはないが,性ホルモンの関与を示唆した報告もある.類天疱瘡と同様の機序で発症することが推察される.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】pruritic urticarial papules and plaques of pregnancy(PUPPP),妊娠性痒疹,その他の水疱を生じる自己免疫性水疱症(後天性表皮水疱症,線状IgA水疱性皮膚症など).

【臨床症状】強い瘙痒を伴う浮腫性紅斑や滲出性紅

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