病態
著明な末梢血好酸球増多と,それに加えて皮膚,心臓,肺,消化管,神経あるいは脾臓など内臓諸臓器の障害をきたす疾患である.近年,疾患概念が整理され,好酸球増多症と好酸球増多症候群,さらには好酸球関連単一臓器限局性疾患の3つに分類されることが多くなっており,より早期の診断・治療が可能となっている.
好酸球増多症は末梢血好酸球数が一定期間増多している状態で,組織中でも好酸球増多がみられることもある.さらに組織中の好酸球増多により臓器障害もきたしている場合は好酸球増多症候群と称される.好酸球関連単一臓器限局性疾患は,好酸球増多症の基準を満たす単一臓器疾患である.これらは,あくまで原因が特定できるまでの暫定的な病名としてとらえられている.
【病因・発生機序】その原因により,遺伝性(家族性),原発性(腫瘍性),2次性(反応性),そして原因不明のものなどに分類される.腫瘍性のものは造血幹細胞,骨髄性または好酸球性腫瘍など,増加している好酸球が腫瘍性細胞と考えられるものを指し,PDGFRA,PDGFRB,およびPGFR1などの遺伝子異常が関係することがある.2次性のものが最も多く,寄生虫,アレルギー/アトピー性疾患,薬剤などの原因により反応性に好酸球増多を呈する.
【臨床症状】①皮膚症状は,紅斑,丘疹,結節,水疱,潰瘍など非常に多彩な臨床像を呈し(図12-19)図,特異的な所見には乏しいが,瘙痒を伴うことが多い.②臓器障害はさまざまな臓器に生じうるが,特に肺,心臓,消化管,さらには神経障害が多い.特に心病変は生命予後を規定する.
診断
The Year 2011 Working Conference on Eosinophil Disorders and Syndromesによる定義・診断基準が有用である.
【必要な検査とその所見】①血液検査にて末梢血好酸球数を確認する.②皮膚病変の診断には皮
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