診療支援
治療

網状皮斑,リベド血管症
Livedo,Livedo vasculopathy
住田 隼一
(東京大学講師)

病態

 末梢の閉塞性循環障害による赤紫色~暗赤色の網目状の病変は総称して網状皮斑(リベド)とよばれるが,これは疾患名ではなく症状名である.網状皮斑においては,真皮および皮下脂肪組織境界部において,静脈網の緊張低下や動脈網の緊張亢進状態が生じているとされる.網状皮斑は,皮斑の形状から,閉鎖性の網目・分枝状・樹枝状模様を呈し一過性に消失する大理石様皮膚(cutis marmorata),持続的かつ不規則な網目状を呈する分枝状皮斑(livedo racemosa),閉鎖状かつ持続性に網目状皮斑を呈する網状皮斑(livedo reticularis)に分類される.また,下腿を中心に局所的な分枝状皮斑や有痛性紫斑を生じ,潰瘍や萎縮性白色調の瘢痕(atrophie blanche)を伴う疾患は,リベド血管症とよばれる.以前は,リベド血管炎とよばれていたが,組織学的に壊死性血管炎の像を認めず,血管内腔の閉塞像が主体であることから,リベド血管症という疾患名が主流となっている.リベド血管症の詳細な機序は不明であるが,病因としては,凝固能異常による血栓形成能の亢進などが考えられている.リベド血管症は難治であり,慎重な診断,経過観察が求められるため,以下,リベド血管症について解説する.

【臨床症状】症状は,下腿などに点状紫斑や出血を伴う水疱で始まることが多く,その後,不規則な網状皮斑が出現する.このように紅斑や紫斑が混在し,やがて不整形の疼痛を伴う潰瘍が生じるようになる.潰瘍は難治性であり,慢性の経過をたどる.潰瘍部は治癒した場合でも,萎縮性白色調の瘢痕(atrophie blanche)が残ることが多い.部位は,下肢のみならず上肢にも皮斑が出ることがあるが,通常,冷感はなく,発熱,関節痛などの全身症状を伴わない.特に夏に潰瘍が増悪する傾向があり,これはlivedo reticularis with

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