病態
アミロイドとよばれるβシート構造をもつ線維状蛋白が諸臓器に沈着して発症する.全身臓器に沈着する全身性アミロイドーシスと特定臓器に沈着する限局性アミロイドーシスに分類される.全身性はさらにALアミロイドーシス,Aβ2Mアミロイドーシス(透析アミロイドーシス),AAアミロイドーシス,ATTRアミロイドーシスなどに分けられる.限局性のものには脳アミロイドーシス,内分泌アミロイドーシス,限局性結節性アミロイドーシス,皮膚アミロイドーシスなどがある.
診断
1.全身性アミロイドーシス
1)ALアミロイドーシス
形質細胞が産生する免疫グロブリンのL鎖由来のALアミロイドが心臓,腎臓,消化管,肝臓,末梢神経,皮膚などに沈着.原発性のものと多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症が原因となるものがある.アミロイドが血管壁に沈着して脆弱になった結果生じる紫斑(特に眼瞼周囲は特徴的),機械的刺激を受けやすい部位の水疱や結節,巨大舌などがみられる(図14-1)図.
2)Aβ2Mアミロイドーシス
透析患者で増加するβ2ミクログロブリン由来のアミロイドが沈着.皮膚では小結節や臀部に皮下結節を生じる.
3)AAアミロイドーシス
血清アミロイドA蛋白由来のAAアミロイドが沈着するもので,関節リウマチなどの自己免疫疾患や慢性感染症などが誘因になる.続発性または反応性アミロイドーシスともよばれる.
4)ATTRアミロイドーシス
トランスサイレチン(TTR)に由来するアミロイドATTRの沈着によるもの.家族性アミロイドニューロパチーや老人性全身性アミロイドーシスなどがある.
2.限局性皮膚アミロイドーシス
1)原発性皮膚アミロイドーシス
①アミロイド苔癬:痒みの強い米粒大程度の褐色角化性小丘疹が集まってみられる(図14-2)図.四肢伸側に生じやすい.アトピー性皮膚炎患者に合併してみられることがある.表皮直下,特に乳頭層に
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