病態
ムコ多糖症(MPS)はムコ多糖の代謝に関与するライソゾーム酵素の先天的欠損や活性低下により,未分解ムコ多糖が過剰に蓄積・沈着し,臓器の機能障害を引き起こす疾患である.欠損酵素により7つのタイプに大別されている(表14-2)図.
【頻度】本邦では,おおむね4~5万人に1人程度とされており,特にMPSⅡ型(Hunter症候群)がその半数を占め,以下,MPSⅠ型(Hurler/Scheie症候群)が15%,MPSⅢ型(Sanfilippo症候群)とMPSⅣ型(Morquio症候群)が各々10%程度を占めている.
【臨床症状】病型やその重症度によって症状に差がみられるが,比較的共通してみられる症状として,特異的顔貌(大きな頭,前額の突出,両眼隔離,巨舌,鞍鼻など),精神運動発達遅滞,角膜混濁・網膜変性,骨格障害,肝脾腫,滲出性中耳炎・難聴,閉塞性呼吸障害,心弁膜症などがある.
1.MPSⅠ型
重症