病態
機械的刺激や炎症によって血管外に漏出したリポ蛋白をマクロファージ(Mφ)などが取り込むと泡沫細胞に変化する.これが真皮や腱などに浸潤する疾患.
【臨床症状】初期には紅色を呈しており,慢性期に黄色に変化する.
【分類】
1.発疹性黄色腫
しばしば高トリグリセリド(TG)血症を合併.直径(φ)5mmまでの黄色丘疹が体幹,四肢屈側に集簇.
2.結節性黄色腫
しばしば高LDL血症を合併.φ数cmまでの黄色結節が四肢伸側に生じる.
3.眼瞼黄色腫
約半数で高LDL血症に伴う.合併しない場合でもHDLの低下を伴うことが多い.両上眼瞼内眼角部にほとんど隆起しない黄色丘疹,黄色斑がみられる.
4.扁平黄色腫
比較的広範囲に平坦な黄色斑がみられる.免疫グロブリン血症,リンパ性および骨髄性増殖疾患を合併することもあり.手掌黄色腫はリポ蛋白血症Ⅲ型でみられる.
5.腱黄色腫
高LDL血症,脳腱黄色腫,シトステロール血症でみられる.皮膚は黄色を呈しない.手背,肘,膝,踵でもみられる.
診断
組織学的所見により確定診断する.
【診断において想起すべき疾患】
1.家族性高コレステロール血症(FH:familial hypercholesterolemia)
成人FHの診断基準は,①未治療時のLDLが180mg/dL以上,②腱黄色腫あるいは皮膚結節性黄色腫(眼瞼黄色腫は含まない),③FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴,のうち2項目以上であるため,黄色腫がFH診断の契機となることも多い.
2.播種状黄色腫(XD:xanthoma disseminatum)
体幹,四肢屈側,顔面など広範囲に発疹性,結節性,斑状の黄色腫が増殖するもの.成人発症のもので長管骨,下垂体などの内分泌系,眼窩,循環器,呼吸器,中枢神経など多臓器に病変が及ぶ場合はErdheim-Chester病(ECD)と診断される(2016年WHOリンパ腫分類に
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