診療支援
治療

乳児臀部肉芽腫
Granuloma gluteale infantum
宮垣 朝光
(聖マリアンナ医科大学准教授)

病態

 おむつ皮膚炎を生じている乳幼児のおむつ付着部位に,発症する炎症性の丘疹・結節性病変.おむつ皮膚炎を基盤に,糞便,尿,カンジダ感染などの慢性刺激によって生じると考えられている.おむつをしており,尿失禁・便失禁をしている高齢者に発生することもある.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】感染性肉芽腫,皮膚リンパ腫,Langerhans組織球症,若年性黄色肉芽腫などが鑑別となる場合がある.

【臨床症状からの診断】臨床的には,臀部,外陰部,鼠径部などのおむつ接触部位に,境界明瞭な紅色から紅褐色の硬めの扁平隆起結節が多発する.個疹の大きさは0.5~3cm程度で,表面にびらん・潰瘍を伴うこともある.特徴的な分布を呈し,臨床症状から診断できる場合もある.

【問診で聞くべきこと】おむつの交換頻度や尿失禁,便失禁による汚染の度合い,おむつ皮膚炎の先行の有無,スキンケアなどについて聴取する必要がある.

【病理組織学的検査】時に隆起が強い場合,結節の数が少数に限られている場合など,前述のように,腫瘍性疾患や感染性肉芽腫が鑑別となる症例もあり,その場合は,病理組織学検査が必要となる.組織学的には,角層,表皮の肥厚,真皮上層から中層の好中球,リンパ球,好酸球,形質細胞などの多彩な炎症細胞浸潤がみられる.感染性肉芽腫を疑った際には,組織培養検査の提出が望ましい.


治療

 基本的には,糞便,尿などの皮膚への慢性刺激を避けるようにケアすることで,治癒する疾患であり,家族に適切なスキンケアを指導することが重要である.スキンケアのみで改善しない場合には,糞便,尿の直接接触を妨げるために亜鉛華軟膏などの保護薬を用いる.

Px処方例

サトウザルベ軟膏(20%) 1日1回 単純塗布

□生活指導のポイント 尿失禁,便失禁をした際には,こまめにおむつを交換し,その際には汚染部位を,ぬるま湯や水できれいに洗浄することを勧める.

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