診療支援
治療

光線過敏型薬疹
Drug-induced photosensitivity
戸倉 新樹
(中東遠総合医療センター アレルギー疾患研究センター長)

病態

1.光毒性と光アレルギー性

光線過敏型薬疹は抗原が薬剤という形で全身投与(経口投与,経静脈投与)され,紫外線(UV)が皮膚に照射されて発症する.光毒性機序または光アレルギー性機序がある.光毒性反応は感作期間を必要としないため,薬剤内服後,初回日光曝露でも活性酸素の働きにより皮疹が生ずる.光アレルギー性反応は感作が必要である.従来,光毒性機序が誇張されてきたが,これは光毒性の安全性試験が多くあるのに対し,光アレルギーを調べることが困難であったことによる.臨床的には光アレルギー機序で起こっていることが多く,光毒性物質は市場から除外される傾向にある.光アレルギー性では,全身投与された薬剤は表皮に到達し,UVAを照射すると薬剤光産物が表皮細胞上に形成される.すなわち薬剤は真皮側から表皮に拡散し,角化細胞と樹状細胞に達し,UVA照射によりこれらの細胞が光抗原を担うことになる.抗原提示細胞とT細胞との反応において,光ハプテンは樹状細胞上のMHC/自己ペプチドに提示されてT細胞を刺激すると考えられる.一般に,通常のハプテンが蛋白質に結合する際,結合すべき重要なアミノ酸にシステインとリジンがある.

2.光ハプテン

光アレルギーが起こるためには,光感受性物質と蛋白質がUV照射により共有結合することが必要であり,2つの説がある.1つはプロハプテン説であり,もう1つは光ハプテン説である.プロハプテン説では,UV照射により光アレルギー性物質の化学構造に変化が起き,通常のハプテンのごとくなり,蛋白質との共有結合能力を獲得する.一方,光ハプテン説では,光アレルギー物質と蛋白質が非共有結合で共存する状態でUVが照射されると,その化学構造の一部が光分解され,その分解と同時に近傍の蛋白質と共有結合する.したがって,あらかじめUVを照射した物質が蛋白質と結合すればプロハプテン,一方,その物質と蛋白との共存

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