病態
特定の分子を標的とする薬剤を分子標的治療薬という.慢性炎症性疾患や,悪性腫瘍の治療に用いられる.細胞内シグナルにかかわる分子の働きを抑制する小分子化合物と,サイトカインや増殖因子,それらのレセプターに結合して働きを抑制したり,特定の細胞に発現する分子に結合して機能を制御したり細胞死に至らしめる生物学的製剤がある.このうち,特にT細胞活性化の抑制システムにかかわる分子を標的として阻害する薬剤を免疫チェックポイント阻害薬という.分子標的治療薬が皮膚の細胞や組織に作用して生じる皮膚症状は治療を受ける多くの人に生じるが,免疫系に作用するために生じる皮膚障害は個々の素因にも左右され,発現の頻度はさまざまである.薬剤が原因となり生じる皮疹であるが,多彩な皮膚症状であるため薬疹というより皮膚障害というほうが適切かもしれない.
診断
1.上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害薬(表18-5)図
皮膚の上皮系