日本皮膚科学会と日本熱傷学会(以下,日熱)の各々から,「熱傷診療ガイドライン」が策定されている.本文中の「推奨する」または「推奨しない」は,いずれかもしくは両学会のガイドラインに記載があるものである.
病態
【病因・発症機序】熱湯や火炎,爆発に伴う高温のガスなどはもちろん,湯たんぽやカイロ,保温便座などそれほど高温でないものでも,長時間の接触で熱傷となる.
【臨床症状】①熱傷深度は主に受傷した温度と接触時間により変化する.②表皮までの熱傷をⅠ度とし,疼痛を伴う紅斑で瘢痕を残さず治癒する.③真皮までの熱傷をⅡ度とし,さらに浅達性Ⅱ度(superficial dermal burn:SDB)と深達性Ⅱ度(deep dermal burn:DDB)に分けられる.SDBでは疼痛を伴い水疱や水疱底の真皮が紅色を呈す.1~2週間程度で上皮化し,一般に肥厚性瘢痕にはならない.DDBでは水疱もしくは水疱底の真