病態
圧迫が原因で生じる皮膚創傷.臥床時の自重による骨突出部の圧迫により,真皮,皮下組織の血行不全,組織虚血をきたすことにより生じる.
弾性ストッキング,非侵襲的陽圧換気(NPPV)マスクなどの圧迫による医原性潰瘍(医療関連機器圧迫創傷)もpressure injuryではあるが,一般に考える褥瘡のイメージから外れるので,ここでは取り上げない.
【頻度】日本褥瘡学会の第4回全国実態調査(2016年)では,一般病院の推定褥瘡有病率は2.46%,介護老人保健施設では1.16%,訪問看護ステーションでは1.93%と報告されている.また,2019年1月現在,日本全国で約656万人が要支援,要介護認定を受けていることを考えると,日本全国に少なくとも数十万人の褥瘡患者がいると考えられる.
診断
【評価】①古典的なステージ分類(Ⅰ~Ⅳ)でもよいのだが,厚生労働省は,病院入院患者に対しDESIGNでの評価を義務づけている.DESIGNおよびDESIGN-Rの表は,日本褥瘡学会ウェブサイト(http://www.jspu.org/jpn/info/design.html)からダウンロードできる.なお,DESIGN-R評価でのDUは,深い褥瘡に壊死組織がついていて深さを確定できないものである(D3以上).②deep tissue injury(DTI)という概念もある.もともと,皮膚表面にほとんど傷がないのに,深部が変性しているもの,という概念であった.しかし,発表されている症例のほとんどは,表面にも深部にも病変がある,通常の深い褥瘡である.
【鑑別診断】皮膚病変の主な原因が圧迫以外の場合には以下の(1)~(3)がある.それぞれの病態に応じた治療を行う.(1)臀部全体がおむつかぶれで赤い場合は撥水剤(図19-11)図,(2)臀裂内に小膿疱があるときにはカンジダの治療,(3)閉塞性動脈硬化症で踵が黒くな
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