病態
常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患である.
【病因・発症機序】①原因遺伝子:TYR(OCA1),P(OCA2),TYRP1(OCA3),SLC45A2(OCA4),chromosome 4q24にマッピングされる遺伝子(OCA5),SLC24A5(OCA6),LRMDA(OCA7),DCT(OCA8).②メラノソーム内のメラニン合成にかかわる分子の遺伝子異常によってメラニンの生成が低下あるいは消失する.
診断
出生時から皮膚,毛髪,眼のメラニンが低下あるいは消失し,皮膚以外の全身症状はみられない.原因遺伝子により7型に分類される.出生時から完全にメラニンが作られない例,成長につれて色素が増加してくる例,皮膚温の高い頭部や腋窩ではメラニンが合成されず,皮膚温の低い四肢では体毛は黒くなる例など臨床症状はさまざまであり,鑑別には遺伝子診断が必要である.羞明,視力障害,眼振などの眼症状がみられるため,早期に眼科へのコンサルトが必要である.眼の症状のみのものは眼白皮症とよばれる.
【鑑別診断で想起すべき疾患】全身症状を伴う白皮症もいくつか知られており,これらの疾患は細胞の膜輸送にかかわる分子の異常などにより発症する.
1.ヘルマンスキー・パドラック症候群(HPS:Hermansky-Pudlak syndrome)
常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患で,眼皮膚白皮症,出血傾向がみられる疾患で,原因遺伝子により11病型に分類され,間質性肺炎,腸炎,免疫不全を合併する病型が知られている.日本人の報告例はHPS 1型が多く,眼皮膚白皮症の約10%を占める.間質性肺炎や腸炎は中年期以降に生じる.
2.チェディアック・東症候群(CHS:Chédiak-Higashi syndrome)
常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患で白皮症,出血傾向,神経症状などを特徴とする原発性免疫不全症である.白血球内の巨大顆粒,メ
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