診療支援
治療

基底細胞癌
Basal cell carcinoma;BCC
竹之内 辰也
(新潟県立がんセンター新潟病院副院長)

病態

 基底細胞癌(BCC)は最も多い皮膚悪性腫瘍であり,緩徐発育ながらも局所侵襲性が高いという特性をもつ.多くは単発性であるが,多発している場合は母斑性基底細胞癌症候群などの基礎疾患の存在も疑う.高齢者に好発し,発生部位の多くは顔面で,なかでも下眼瞼・鼻・上口唇にかけての顔面中央部に好発する.


診断

【臨床症状からの診断】日本人BCCの9割以上は色素沈着を伴う.大半を占める結節・潰瘍型は黒色調を呈する丘疹~結節が基本像であり,色素斑は島状~分葉状で表面に蝋様の光沢を伴う(図22-24).増大するとともに中央部が潰瘍化する.体幹や四肢に好発する表在型は境界明瞭な淡紅色斑ないし局面で,辺縁に数珠状の黒色点を伴う(図22-25).まれな病型として,無色素性の瘢痕状局面を呈する斑状強皮症型や,有茎性の淡紅色腫瘤を呈するPinkus型などがある.

【鑑別診断で想起すべき疾患】鑑別疾患としては,結節・潰瘍型では色素細胞母斑,脂漏性角化症,悪性黒色腫が,表在型ではBowen病が挙げられる.

【必要な検査とその所見】臨床診断におけるダーモスコピーの利用価値はきわめて大きい.arborizing vessels(拡張・蛇行した樹枝状血管),large blue-gray ovoid nests / multiple blue-gray globules(集簇する黒色~灰青色の大小結節状構造),spoke wheel areas / leaf-like areas(辺縁部にみられる松葉状~大葉状構造),ulceration(潰瘍形成),shiny white areas(光沢を伴う白色領域)などの所見を認める(図22-26)BCCの病理組織像は,基底細胞に類似した好塩基性の腫瘍細胞が大小不規則の胞巣を形成し,胞巣の辺縁には核の柵状配列がみられる.また,胞巣と周囲間質の間に裂隙形成を認める.

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