神経腫として皮膚科で扱う疾患は,①外傷性神経腫,②痕跡的多指症,③柵状被包化神経腫の3疾患で,①,②はいずれも外傷後の反応性過形成と考えられている.病理組織学的には,Schwann細胞と軸索がほぼ1:1の構成をとる.
Ⅰ 外傷性神経腫 (traumatic neuroma)
病態
【頻度】四肢切断後に生じることが多く,皮膚科領域ではまれである.
【病因・発症機序】外傷や手術後に,皮下に生じる有痛性の結節.末梢神経の断端で,神経幹内のSchwann細胞と結合組織が増殖することによって生じる.
診断
【臨床症状からの診断】外傷あるいは四肢切断後に,圧痛や知覚過敏を伴う皮下結節を生じた際に疑う.発症までは1か月~20年と幅がある.皮膚科領域では植皮術後に生じた報告がある.
【病理組織学的診断】瘢痕組織内に,大小の神経線維束が不規則に増生する.神経線維束は正常の末梢神経と同じ構造をとる.