診療支援
治療

被角血管腫
Angiokeratoma
並木 剛
(東京医科歯科大学准教授)

病態

 被角血管腫の病因はさまざまであるものの真皮浅層に増殖する毛細血管の拡張を主体とし表皮の角化亢進を伴う血管腫である.主に病型として5つの型があり,単発型・Mibelli型・陰囊型・母斑様限局型・びまん型がある.

【頻度】各病型により異なるが,陰囊型では高齢者に多く,他の病型では若年者に多い傾向がある.

【病因・発症機序】単発型では外傷の既往を,Mibelli型では凍瘡の既往を有することが多い.陰囊型では加齢が,母斑様限局型では形成異常が,びまん型ではリソソームの蓄積が要因になるなど,病型により要因となるものは異なる.


診断

【問診で聞くべきこと】外傷・凍瘡など誘因となるべき既往の有無を問診する.またびまん型の場合には家族内に先天性のリソソーム蓄積症があるかなどを問診する.

【臨床症状からの診断】

1.単発型

 数mm大の暗赤色から濃青色の丘疹または結節を呈する.下肢に好発し外傷後に生じることが多い(図24-6)

2.Mibelli型

 手指足趾に生じる暗赤色から濃青色の疣贅様皮疹.凍瘡の既往を有することが多い.

3.陰囊型

 高齢者の陰囊に生じる数mm大の鮮紅色もしくは暗赤色の小結節.多発していることが多い.

4.母斑様限局型

 出生時から四肢や体幹片側性に生じる序列性の鮮紅色・暗赤色丘疹.

5.びまん型

 リソソーム酵素活性低下による先天性リソソーム蓄積症.体幹に多発性に小型で丘疹状の血管腫をみる.

【必要な検査とその所見】皮膚生検にて表皮肥厚を伴う真皮乳頭層血管の増殖拡大を確認する.またびまん型ではリソソーム酵素活性の低下および電子顕微鏡で層状沈着物やリソソーム空胞化を確認する.

【病理組織検査】真皮乳頭部の血管の増殖と拡張を主体とし角質増殖を伴う表皮肥厚を認める.肥厚した表皮は血管の増殖を囲むように表皮稜が延長していることが多い.特に母斑様限局型では皮下に至る血管の増殖拡張を認めることがある.

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