診療支援
治療

好酸球性血管リンパ球増殖症
Angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia:ALHE
牧野 輝彦
(富山大学准教授)

病態

 好酸球性血管リンパ球増殖症(ALHE)は主に頭頸部に単発あるいは多発する紅色結節性病変であり,病理組織学的に真皮~皮下組織に膨化した血管内皮細胞よりなる血管の増生とリンパ球,好酸球の浸潤を認める疾患である.反応性病変や良性の腫瘍性病変などの可能性が提唱されている.アジア人と白人に多く,男女比に偏りはない.

【病因・発症機序】感染症,外傷,動静脈シャント,抗エストロゲン血症などが発症誘因として推測されているが不明である.近年,血管内皮細胞のチロシンキナーゼ受容体Tie-2をコードするTEK遺伝子に変異が検出された症例やT細胞リンパ腫を併発した症例も報告されているが,これらの病因的な意義は明らかではない.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】木村病,皮膚・軟部組織の悪性リンパ腫,血管肉腫,Kaposi肉腫,真菌感染症,非結核性抗酸菌症などが挙げられる.

【臨床症状からの診断】ALHEは耳介周囲から前額および側頭に単発あるいは多発する直径数cmまでの弾性硬の紅色結節である(図24-8).木村病では比較的大きめの結節が耳介周囲に集中して生じる点で鑑別される.また木村病の約半数でみられるリンパ節腫脹はALHEではほぼみられない.

【必要な検査とその所見】血液検査ではALHE患者の約3割で血中好酸球数の増加や血清IgEの上昇がみられる.

【病理組織学的検査】真皮~皮下の類上皮様に肥大し内腔に突出した血管内皮細胞からなる血管の増生と,好酸球・リンパ球の密な浸潤を特徴とする.木村病でみられる胚中心を有する大きなリンパ濾胞は一般にみられない.悪性リンパ腫や血管肉腫,Kaposi肉腫も病理組織学的検査で鑑別される.


治療

 ALHEの治療は主に外科的切除が選択されるが約4割の症例で再発がみられる.そのほか,ステロイドの局所注射や内服・外用療法,凍結療法,放射線治療,炭酸ガスレーザー治療,色素レーザー治療

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