診療支援
治療

皮膚骨腫
Osteoma cutis
帆足 俊彦
(日本医科大学准教授)

病態

 皮膚に生じた異所性骨形成である.先行する皮膚疾患のない原発性皮膚骨腫と,皮膚の炎症や腫瘍に続いて生じる続発性皮膚骨腫とに分けられる.原発性皮膚骨腫はAlbright遺伝性骨異形成症(偽性副甲状腺機能低下症Ia型:低身長,肥満,円形顔貌,第4中手骨・中足骨短縮がみられる.Albright症候群とはまったく異なる疾患である)の1症状である場合と,合併疾患のない場合がある.合併疾患のないものは,広汎性骨腫,単発性板状骨腫,単発性骨腫,多発性粟粒性骨腫に分けられる.続発性皮膚骨腫は母斑細胞母斑(Nanta母斑)などの皮膚腫瘍,皮膚の炎症性疾患に続発して生じる.真性の腫瘍ではなく,多くは過誤腫ないし代謝的化骨である.


診断

【臨床症状からの診断】

1.原発性皮膚骨腫

①Albright遺伝性骨異形成症:数個ないし多数の硬い皮内結節が四肢,体幹にみられる.関節周囲に多発する傾向があり,皮膚は皮膚色ないし萎縮状となる.②広汎性骨腫:出生時もしくは生後数か月までに生じる,多発性の小石ないし砂利状の皮内腫瘤である.③単発性板状骨腫:出生時から頭部,四肢に生じる硬い板状硬化局面である.④単発性骨腫:成人に発生する,種々の部位に生じる皮内腫瘤である.時に経皮的骨片排出がみられる.⑤多発性粟粒性骨腫:中年女性の顔面,特に頰部に好発する,多発性の小丘疹である.

2.続発性皮膚骨腫

 特異的な所見はなく,病理組織所見から気づかれる.

【病理組織学的検査】原発性皮膚骨腫では真皮中層から皮下組織にかけて好酸性に染まる境界明瞭な骨組織がみられる.血管,結合織に富むHavers管がみられ,骨細胞や骨芽細胞もみられる.破骨細胞や骨膜はみられない.続発性皮膚骨腫では先行する病変に同様の骨組織を確認できる.病理組織像で皮内の骨組織の存在を確認することで診断をつける.


治療

 単発性であれば切除が行われる.多発性のもの,局面

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