病態
指趾末節骨から骨性に隆起する良性骨腫瘍である.10~20歳代に好発し,女性にやや多い.発生部位は母趾が圧倒的に多く,手指にはまれである.病因は不明であるが,慢性的な機械刺激による説が有力である.骨髄から連続する骨軟骨腫とは別の疾患である.
診断
【臨床症状からの診断】半球状ないしドーム状の皮下結節であり,爪の変形を生じる(図24-22)図.色調は皮膚色ないし淡赤色である.潰瘍を生じることもある.一般的に,自覚症状は乏しいが,爪甲を下から押し上げて疼痛を生じさせうる.
【画像所見】骨X線で末節骨の背側ないし背側側面から突出する骨性隆起がみられ,診断に非常に有用である.骨皮質と接するが,骨髄腔との連続性はない.骨化の乏しい場合はMRIが有用である.爪下外骨腫の線維性軟骨はT1強調画像,T2強調画像ともに低信号として描出される.
【病理組織学的検査】硝子軟骨が形成され,骨芽細胞により骨に置換されて骨形成が起こる過程を軟骨内骨化という.これに類似した組織像を有する爪下外骨腫を骨軟骨腫型とよぶ.これに対し,線維性軟骨あるいは軟骨をまったく介さずに結合組織から直接骨に移行する外骨腫型がある.区別のできない混合型もある.
【鑑別診断】疣贅,Glomus腫瘍,化膿性肉芽腫,肥厚性瘢痕,悪性黒色腫などが鑑別に挙げられる.
治療
治療は外科的切除である.駆血して無血野を確保し,爪をできるだけ切って視野を広くする(図24-23a)図.腫瘍の大きさによっては部分抜爪や全抜爪が必要になる.爪床が保たれている場合は指尖部を,保たれてない場合は爪床を切開して腫瘍を露出させる.骨化が進んでいる場合は骨ノミを用いるが,進んでいない場合は形成剪刀で容易に剝がすことができる(図24-23b)図.切除断面はリウエル,骨ヤスリを用いて健常部まで切除する(図24-23c)図.爪母をできるだけ損傷しないように注意する.皮膚を
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