診療支援
治療

黄色肉芽腫
Xanthogranuloma
福本 隆也
(福本皮フ病理診断科院長)

病態

 原因不明の反応性肉芽腫性疾患で,非Langerhans細胞性組織球症の一型である.小児に発生すると若年性黄色肉芽腫(juvenile xanthogranuloma),成人に発生すると成人性黄色肉芽腫(adult xanthogranuloma)とよばれる.

【臨床症状】生後約1年までに約7割が発生し,出生直後から存在することもある.結節型では1~2cm程度までの橙黄色調の結節が1個から数個みられ(図24-24),丘疹型では数mm程度の丘疹が多発することが多い.頭頸部や体幹に好発し,ドーム状に隆起し表面平滑で硬く触れる.初期には黄色調が目立たないことがある.まれに眼病変などの他臓器病変を合併することがあり,また神経線維腫症1型に合併することもある.乳幼児期に発生した例では数か月ないし数年のうちに自然消褪することが多いが,成人後に発生した例は結節型が多く,自然消褪はまれである.

【必要な検査とその所見】ダーモスコピーで,黄色調が認識しやすいことがある.血清脂質は正常で,確定診断のためには皮膚生検が必要である.

【鑑別診断で想起すべき疾患】結節型ではSpitz母斑,皮膚線維腫,肥満細胞腫,伝染性軟属腫,結節性黄色腫などが,丘疹型ではLangerhans細胞組織球症,播種状黄色腫,扁平疣贅,肥満細胞腫,伝染性軟属腫などが鑑別疾患となる.


診断

 乳幼児の多発型ではLangerhans細胞組織球症との鑑別が最も大切であるが,その場合は痂皮や紫斑を伴うことが多い.できるだけ皮膚生検を行って鑑別する.

【病理組織所見】真皮浅層から深層にかけて結節状の組織球の浸潤があり,多数の泡沫細胞と異物型やTouton型の多核巨細胞を伴う.しばしば好酸球の浸潤もある.初期病変では泡沫細胞やTouton型巨細胞が目立たず,組織診断が難しいことがある.免疫染色ではCD68が陽性で,S-100蛋白はまれ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?