病態
Kaposi肉腫(KS)は,①AIDS関連型,②アフリカ型,③古典型の3型に分けられるが,本邦においてはAIDS関連型がほとんどである.ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)は,古典型KS,移植関連型KS,およびAIDS関連型KSのいずれの組織からも同定できる.KSは,HHV-8の感染した内皮細胞から発生する.HHV-8感染者が,AIDSや臓器移植後の免疫抑制薬投与による免疫抑制状態になるとKSが発生する可能性が著しく高くなる.
古典型KSは,イタリア系,ユダヤ系,および東欧系の高齢男性(60歳以上)に好発する.経過は緩徐で,下肢の皮膚に生じる少数の病変に限局するのが通常であり,内臓病変が生じる割合は10%未満である.通常,この病型で死亡することはなく,罹患した下肢に静脈うっ血およびリンパ浮腫を併発することが多い.
AIDS関連KSは,古典型KSより進行が早く,皮膚,粘膜に多く発生し,消化管がそれに次ぐが,リンパ節,肺,肝臓,脾臓などの内臓にも発生する.抗レトロウイルス療法(antiretroviral therapy:ART)の発達によりKSの発生率は減少傾向を示している.
診断
皮膚病変は自覚症状を伴わない紫紅色斑で,緩徐に隆起し,弾性軟の結節や腫瘤を形成する(図24-28)図.結節が疣贅状に増殖し,融合して青紫色から黒色の局面を形成したり,軟部組織を通過して骨に浸潤することもある.粘膜病変は青色調から紫色調の斑,局面,または腫瘤として出現する(図24-29)図.下腿や鼠径の場合,浮腫を伴うことが多い.
病理組織像では紡錘形の核をもつ異型細胞がスリット状の構造をもつ腫瘍細胞の増殖を認める(図24-30)図.HHV-8染色も有用である.
本邦ではAIDS関連型がほとんどのため,KSの診断とともにHIV1+2抗体スクリーニング検査が必要である.近年,AIDSの発症で初めて
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