診療支援
治療

突発性発疹
Exanthem subitum
清水 晶
(金沢医科大学教授)

病態

【病因・発症機序】突発性発疹はhuman herpesvirus 6型(HHV-6)の初感染によって生じる乳幼児期の感染症である.HHV-6はヘルペスウイルス科に属する2本鎖DNAウイルスである.HHV-6はHHV-6AとHHV-6Bの2種類があり,HHV-6Bの病原性が知られている.HHV-6Bは乳児期に初感染し,幼児期以降HHV-6Bは唾液腺,骨髄前駆細胞,中枢神経に潜伏感染する.HHV-6再活性化が関係する疾患としては薬剤性過敏症症候群や移植後患者における脳炎が挙げられる.健常成人で病原性をきたすことはまれである.突発性発疹は生後6か月~2歳,本邦では1歳未満に多い.HHV-7による突発性発疹は生後2~4歳とHHV-6よりも遅れるため,2回目の突発性発疹はHHV-7の初感染であることが多い.潜伏期間は9~10日,不顕性感染もある.母親からの移行抗体が消失する乳児期後半以降に,家族の唾液などから感染すると考えられる.


診断

【問診で聞くべきこと】皮疹出現までの発熱の有無を確認する.熱性けいれんの有無,機嫌が悪くないかなど.

【臨床症状からの診断】生後初めての発熱であることが多い.38℃以上の発熱が3~4日間続き,解熱とともに発疹が出現する.発疹は米粒大前後の紅斑が播種し(図26-6),数日で色素沈着などを残さずに消褪する.頸部,腋窩リンパ節腫脹もみられる.軟口蓋に永山斑(紅斑)がみられる.健康な乳児では初めての発熱性疾患であり,特徴的な臨床経過から診断可能.解熱後に不機嫌になることがある.

【必要な検査とその所見】通常,検査は行わない.急性期は好中球増加,数日でリンパ球分画が増加する.

【病理組織学的検査】特に必要ない.


治療

 対症療法により自然軽快する.ワクチンはない.アスピリンはReye症候群の可能性があり投薬しない.

□患者説明のポイント‍ 感染してから急に熱が上が

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