診療支援
治療

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
Staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS
玉城 善史郎
(埼玉県立小児医療センター科長兼副部長)

病態

 ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)は主に乳児~幼児期にみられる黄色ブドウ球菌感染症の1つであり,発熱などの全身症状とともに,全身の皮膚に急速に広がる潮紅および水疱・びらんを呈する疾患である.細菌の産生する表皮剝脱酵素が,接着因子であるデスモグレイン1を分解することにより広範囲に表皮剝離が起こる.

【臨床症状】38℃前後の発熱,不機嫌,食欲不振などの全身症状がみられるとともに,咽頭発赤や頸部リンパ節腫脹および口囲や眼囲の潮紅や水疱,口囲の放射状の亀裂・びらん,眼脂などがみられる特有の顔貌を呈するようになる(図27-4).さらに頸部,腋窩,鼠径などの間擦部位に潮紅がみられ(図27-5),全身に熱傷様の表皮剝離やびらんを呈する.一見正常な皮膚に見える部位においても軽度の擦過による表皮剝離がみられるNikolsky現象も陽性となる.


診断

 ほとんどの場合は乳幼児であること,および上記の臨床所見に加えて鼻腔・咽頭・眼脂の細菌培養による黄色ブドウ球菌の検出にて診断する.またMRSAの割合が増えていることから薬剤感受性検査も必須である.

【鑑別診断で想起すべき疾患】Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症などの重症薬疹が挙げられるが,これら疾患は,主な原因が薬剤であることと粘膜症状が非常に強いことが特徴とされ,鑑別に有用である.


治療

 ごく軽症の場合は内服も可であるが,原則として入院のうえで補液などの全身管理とともに第1世代セフェムの点滴を開始する.3~5日投与後に症状の改善がみられない場合やMRSAなどが判明した場合には,薬剤感受性結果をもとに抗菌薬の変更を行う.また,紅斑部にはワセリン,びらん・水疱部には抗菌薬の外用を行う.

Px処方例 軽症は1)または2),中等症~重症は入院管理にて3),MRSA判明の場合は4)を用いる.外用薬は紅斑部に5),びらん・水疱部には

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