病態
皮膚非結核性抗酸菌症は,非結核性抗酸菌による皮膚感染症である.抗酸菌群のうち,結核菌群とらい菌を除いたものが非結核性抗酸菌である.わが国では皮膚感染症を生じるものは20種類以上あると考えられ,Mycobacterium(以下M.)marinumが最も多く,次にM. fortuitum,M. chelonae,M. aviumが多い.
1.M. marinum感染症
本邦の皮膚非結核性抗酸菌症の約65%を占め,最多である.水族館勤務・熱帯魚販売・漁業関係者・魚調理師・熱帯魚飼育者など魚類飼育関連のものが多い.手指・手背・前腕などに紅色丘疹・膿疱を生じ,拡大とともに潰瘍・皮下膿瘍・結節・腫瘤などを呈する.初期病変が徐々に拡大するもの(固定型)のほかに,リンパ管に沿って病変が多発していくもの(リンパ管型)や,全身皮膚に多発するもの(播種型)がある.M. marinumは遅育菌で培養には期間を要し,また発育至適温度が体温より低めであるため,必ず室温もしくは30℃付近での培養も実施する.また同定においてDDHマイコバクテリア‘極東’では,M. ulcerans・M. ulcerans subsp. shinshuenseでもM. marinumと判定されてしまうため,臨床症状や経過など他の情報との突合が時に必要で,厳密にはPCRによりM. ulceransに特異的なIS2404が陰性であることを確認することが望ましい.
2.M. fortuitum感染症
M. fortuitumは速育菌の1つであり,土壌・水など自然界に広く分布している.本邦ではM. marinumの次に多い皮膚非結核性抗酸菌症とされる.免疫低下患者での発症,注射部位やカテーテル留置部位での発症が報告されている.臨床的には四肢に好発し,表面暗紫紅色調で皮下膿瘍を伴い,瘻孔を形成して排膿を伴う局面を呈し,他の皮膚非
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