病態
Hansen病は主に皮膚と末梢神経に病変を形成する慢性抗酸菌感染症である.現在,日本では新規患者は年に3人程度である.皮膚症状は環状紅斑や紅斑局面,結節など多彩である.らい菌に対する細胞性免疫の強弱により,類上皮細胞性肉芽腫やマクロファージ由来の泡沫細胞が病変を形成する.主に治療開始後にらい菌に対する細胞性免疫が過剰に働く場合や,免疫複合体によるArthus反応により,全身症状が出現することがある(らい反応).治療は多剤併用療法で行われている.Hansen病回復者においても,神経症状が加齢に伴って徐々に進行し,知覚鈍麻により外傷や熱傷を繰り返し,筋力は低下していく.
【Hansen病の歴史】Hansen病は太古から人類にかかわっており,中世では宗教的観点から偏見・差別を受け,社会から隔離されてきた.1873年にらい菌が発見されると,当初は公衆衛生の立場から隔離政策がとられ,それに基づいた法律が制定された.らい菌の感染様式が一般に理解され,治療薬が開発されてから隔離は不要とされ,人権が保護される方向にある.
【頻度】日本人の新規感染者は年間0~1人で,高齢者である.一方,在日外国人の新規患者は毎年3人程度である.
【病因・発症機序】Hansen病はらい菌(Mycobacterium leprae)による慢性感染症で,主に皮膚と末梢神経が侵される.近年,一部の特殊な病型ではM. lepromatosisが原因であることが判明した.M. lepraeとM. lepromatosisのDNAの相同性は約90%である.感染経路は多数のらい菌をもっている患者からの呼吸器感染と考えられ,幼小児期の濃厚で頻回のらい菌曝露で感染が成立する.しかし,発症には,経済状態,栄養状態,衛生状態なども関与し,さらにらい菌に対する個々の細胞性免疫能なども関与する.
【臨床症状】
1.皮膚症状
①TT型:境界明
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