病態
黒色真菌症は暗色調の真菌群(黒色真菌)による皮膚,皮下組織の感染症である.生体内の真菌の寄生形態の違いにより,黒色分芽菌症(chromoblastomycosis)と黒色菌糸症(phaeohyphomycosis)に分けられる.かつて用いられたクロモミコーシスという疾患名は黒色真菌症全体を示すのか,黒色分芽菌症を指すのか時に曖昧であったため,直近のガイドラインでは使用されていない.組織内菌要素が胞子状で壁が厚い厚壁細胞,または縦横に隔壁を認める石垣状細胞があれば黒色分芽菌症とし,菌糸状,胞子連鎖のみであれば黒色菌糸症とする.原因菌として複数の属にわたる100種を超える菌種が知られている.
従来は黒色分芽菌症の症例数が多かったが,近年黒色菌糸症の割合が増加している.黒色分芽菌症は主にFonsecaea pedrosoi(F. monophora)によって健常者に生じ,顔面,下肢,臀部に