病態
日本近海では生命を脅かす海洋生物はまれであるが,沖縄県・琉球海域では,美しいサンゴや色鮮やかな熱帯魚を間近に見ることができる一方で,刺症,咬症を引き起こす危険生物が多く生息する.水着皮膚炎(プランクトン皮膚炎)やクラゲなどの刺胞動物による皮膚障害は頻度が高く,ほかにウミケムシなどの環形動物,タコなどの軟体動物,オニヒトデなどの棘皮動物,オニダルマオコゼなど魚類,ウミヘビなどにより,多くは遊泳中に受傷する.なかでも,沖縄地方に特有なハブクラゲ,オニヒトデ,オニダルマオコゼなどは非常に危険であり,刺症による重症例や死亡例が発生する.
1.刺胞動物による皮膚障害
クラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物は,触手に刺胞を有しヒトの皮膚との接触により刺胞内の刺糸の毒素が注入され皮膚を障害する.疼痛,灼熱感,発赤,浮腫,膨疹,水疱,皮膚壊死などを生じる.
1)ハブクラゲ
①沖縄・奄美地方から東南アジアに生