病態
尋常性痤瘡は脂腺性毛包を侵す慢性炎症性疾患で,痤瘡のなかで最も代表的な疾患であり,一般に痤瘡といえば“尋常性痤瘡”,すなわち“ニキビ”のことを指す(→,「痤瘡様発疹」の項の表31-1図参照).
ニキビは,ほとんどの人が程度の差はあれ一生に一度は経験するものである.したがって,本症を身体の発育過程における生理現象の1つとしてとらえることも可能であるが,症状が強い場合には1つの皮膚疾患としてとらえるべきである.
【病因・発症機序】①ニキビの発症機序は,大きく2つの段階に分けることができる.第1段階は面皰形成であり,第2段階は炎症惹起である.②ニキビの多くは思春期に性ホルモン,特に男性ホルモンの分泌が亢進することによって発症する.男性ホルモンは皮脂腺の機能を亢進し,脂質の生合成を増大するとともに,毛包漏斗部では角栓形成,すなわち閉塞が起こる.そのため毛包管内に皮脂成分,毛包内の常在菌である痤
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