診療支援
治療

痤瘡様発疹
Acneiform eruption
赤松 浩彦
(藤田医科大学教授・応用細胞再生医学)

病態

‍ 表31-1に示すように,痤瘡には多くの疾患が含まれており,その原因も多岐にわたっている.ここでは,他項に記載されている尋常性痤瘡(ニキビ),毛包虫性痤瘡以外の痤瘡を取り上げて概説する.

1.新生児痤瘡(acne neonatorum)

 厳密には生後1か月までの新生児期に初発する痤瘡を指すが,実際には生後3か月までに発症する場合までを含める.生後2週間頃から発症することが最も多い.症状としては,主として顔面に面皰から始まり,紅色丘疹,膿疱などがみられる.胸部や背部に生ずることはほとんどない.

2.マラセチア毛包炎(malassezia folliculitis)

 マラセチア属真菌に起因する毛包炎であり,夏季に胸背部,肩,上腕などに好発する.皮疹の性状は紅色丘疹で,時に小膿疱を伴うことがあり,多くは均一で,面皰形成は少ない.自覚症状として痒みを伴うことがある.病因としては,高温多湿などにより起こる,毛包内に常在するマラセチアの増殖による炎症の惹起が関与している.皮疹部内容物の直接鏡検でマラセチアの胞子を認める.

3.夏季痤瘡(acne aestivalis)

 疾患名の通り,発症において季節的な特徴が著しく,高温多湿な夏季に胸背部,肩,上腕などに好発する.皮疹の性状は毛包一致性,左右対称性,孤立性の大きさのよくそろったドーム状に盛り上がった,軽度の痒みを伴う紅色丘疹がみられ,面皰,膿疱はきわめて少ない.

4.ステロイド痤瘡(steroid acne)

 副腎皮質ステロイドの全身投与により生ずる.投与2~3週後より急激に発症することが多い.顔面および前胸部などに紅色丘疹,膿疱から始まり,これらが主な症状となる.面皰形成は少ない.副腎皮質ステロイドの長期外用により生ずることもある.近年,ステロイド痤瘡は組織学的にはマラセチア毛包炎であるとの報告もある.

5.集簇性痤瘡(acne con

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?