病態
表31-1図に示すように,痤瘡には多くの疾患が含まれており,その原因も多岐にわたっている.ここでは,他項に記載されている尋常性痤瘡(ニキビ),毛包虫性痤瘡以外の痤瘡を取り上げて概説する.
1.新生児痤瘡(acne neonatorum)
厳密には生後1か月までの新生児期に初発する痤瘡を指すが,実際には生後3か月までに発症する場合までを含める.生後2週間頃から発症することが最も多い.症状としては,主として顔面に面皰から始まり,紅色丘疹,膿疱などがみられる.胸部や背部に生ずることはほとんどない.
2.マラセチア毛包炎(malassezia folliculitis)
マラセチア属真菌に起因する毛包炎であり,夏季に胸背部,肩,上腕などに好発する.皮疹の性状は紅色丘疹で,時に小膿疱を伴うことがあり,多くは均一で,面皰形成は少ない.自覚症状として痒みを伴うことがある.病因としては,高温多湿などに