診療支援
治療

顔面播種状粟粒性狼瘡
Lupus miliaris disseminatus faciei:LMDF
山﨑 研志
(東北大学准教授)

病態

 顔面播種状粟粒性狼瘡(LMDF)は顔面,特に眼囲から頰部に好発する“apple-jerry”様と表現される橙色から淡紅色調の比較的な均一な丘疹の集簇をきたす疾患である.組織学的に肉芽腫を伴い,酒皶の一型;肉芽腫性酒皶(granulomatous rosacea)とする意見もあるが,学術的統一見解は得られていない.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】顔面にニキビ様皮疹を呈する疾患が鑑別疾患に相当する.顔面にニキビ様皮疹を呈する疾患には,痤瘡や酒皶などの付属器疾患,毛包虫性皮膚炎やマラセチア毛包炎,好酸球性膿疱性毛包炎などがある.充実性丘疹の形状から汗管腫や稗粒腫などの付属器腫瘍,肉芽腫性反応をきたすサルコイドーシスも鑑別に挙がる.

【問診で聞くべきこと】①自覚症状の有無:LMDFでは自覚症状がない.②合併症・既往歴の確認:ニキビ様皮疹を呈する全身性疾患の合併の有無を検討する.③環境因子の影響:季節性の発症傾向や症状消長は認めない.④生活環境の影響:洗顔・香粧品を含めて生活環境の影響を受けない.

【臨床症状からの診断】①視診・皮疹性状:顔面左右対称性に主として眼瞼から頰部にかけて数mm大の常色・橙色から淡紅色調の比較的な均一な充実性丘疹の集簇を認める.酒皶や痤瘡では皮疹がみられない眼瞼皮膚にも皮疹が出現することが特徴である.②ダーモスコピー:皮下に毛包角質物の貯留がある病変では黄白色調の変化が認められる.

【必要な検査とその所見】問診と臨床症状に応じて行う.①皮膚生検と皮膚病理検査:非乾酪性肉芽腫を確認する.多核巨細胞を確認する.②血液検査:T-SPOTやQuantiFERON検査で結核反応がないことを確認する.LMDFの結核疹説は否定されている.


治療

 LMDFは1~数年の経過で自然治癒傾向のある疾患である.いくつかの治療で有効性が報告されているが,改善には数か月を要する.ステロイ

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