診療支援
治療

トリコチロマニア(抜毛癖)
Trichotillomania
大日 輝記
(香川大学教授)

病態

 自身の抜毛行動を止めることができず脱毛を生じる状態を指す.不安障害(不安神経症・強迫性障害)関連疾患に分類される.

【疫学】女性が男性の2~10倍多い.皮膚科を受診する小児脱毛の1割に及ぶ.青年期の有病率は0.0~3.9%,生涯罹患率は0.6%である.成人の平均罹病期間は21.9年である.

【臨床症状】脱毛の部位は問わない.頭髪が最も多く,眉毛,陰毛が続く.頭頂部から広がることが多い(図31-9).一方でさまざまなパターンをとる.毛や頭皮の違和感や感情の起伏が引き金となり,また無意識の抜毛行為も認める.

【合併症】既往群では健常群に比べて不安障害を有する率が3倍高い.抑うつ状態,感情障害,アルコール依存などさまざまな精神疾患の合併が多くみられる.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】頭部白癬や梅毒などの感染症を含めて脱毛をきたすほかの疾患を除外する(,「円形脱毛症」の項参照).特に円形脱毛症

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