病態
今までいわれてきた男性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)は,男性型脱毛症(male pattern hair loss:MPHL)と女性型脱毛症(female pattern hair loss:FPHL)に分けられるようになった.
【頻度】日本人男性の発症頻度は全年齢平均でおおよそ30%であり年齢とともに高くなる.
【病因・発症機序】MPHLでは,頭頂部や前頭部の毛乳頭細胞の細胞質に存在するⅡ型5α還元酵素によってテストステロンがジヒドロテストステロンに変換され男性ホルモン受容体に結合し,2量体を形成して核内に移動し標的遺伝子のプロモーター上のアンドロゲン応答配列(ARE:androgen response element)に結合する.その結果TGF-β,DKK1発現が誘導され毛母細胞の増殖の抑制,Wntシグナル阻害によって成長期が短縮し休止期が延長することで,毛髪は短くなり軟毛化が進み薄毛となる.一方,FPHLの病態はアンドロゲンのみで説明がつかず,詳細な病態の解明には至っていない.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】頭頂部の薄毛が目立つ疾患としてMarie-Unna乏毛症,筋ジストロフィーに伴う前頭部脱毛症状が挙げられる.FPHLは慢性休止期脱毛症が鑑別に挙がる.
【問診で聞くべきこと】薄毛の経過を聞く.思春期以降に発症し進行性である.またAGA家族歴も参考になる.筋ジストロフィー,甲状腺疾患,膠原病などの合併症の有無,また合併する疾患に対する治療の薄毛への影響を検討する.
【臨床症状からの診断】①MPHLの薄毛パターンの分類は,Norwoodの分類に高島分類のⅡ vertexを加えた分類が広く使用されている.②FPHLは頭頂部から側頭部にかけて比較的広い範囲が薄毛となり,Ludwig分類が知られている.
【必要な検査とその所見】①ダーモスコピー:
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