病態
脱毛症は,発症時期から後天性と先天性の群に大別される.脱毛のタイプには,円形脱毛症などの成長期脱毛と,分娩後脱毛症などの休止期脱毛がある.日常診療で高頻度に遭遇する脱毛症は円形脱毛症と男性型脱毛症だが,その他の脱毛症の患者も少なからず存在する.脱毛症の種類はきわめて多彩で,原因や病態も各疾患で異なる.また,円形脱毛症と男性型脱毛症以外の脱毛症に関する信頼できる疫学データはほとんど存在しない.
診断
【問診および理学的所見】①脱毛の生じた時期,薬剤内服歴,高熱の既往や全身倦怠感の有無,ペットの飼育の有無などについて詳しく問診をとる.②脱毛のパターン(びまん性,限局性,虫食い状など)について診察する.③脱毛部をダーモスコピーで観察し,毛孔の状態,頭皮の色調や残存している毛髪の性状などを観察する.④牽引試験(pull test)を実施し,抜去した毛髪の近位端を光学顕微鏡またはダーモスコピーで観
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