病態
爪の色の変化をきたす疾患は多数あるが,色調変化が爪甲自体の異常によることもあれば,半透明の爪甲を通して見える爪床の異常に起因する場合もある.異常と判断される爪の色として,白色,黄色,緑色,紅色,褐色,黒色などが挙げられる.また,爪の色に異常がみられるのが1本の指(趾)だけなのか,複数(あるいはすべて)の指(趾)なのかといったことも,原因となる疾患を推定するうえでは重要な情報となる.
1.爪の白色変化
爪の一部が白く見える場合には爪甲白斑とよばれ,爪母の角化異常による真の爪甲白斑と爪甲直下の爪床の変化による見かけ上の爪甲白斑とに大きく分けられる.例えば,爪乾癬では,爪母の病変で生じた不全角化細胞塊が爪甲内に閉じ込められると爪甲白斑として観察される.さらに,爪甲内に白癬菌が感染する爪白癬においても爪は白色調を呈する.
2.爪の黄色変化
一般的に,爪甲は厚みが増すにしたがって黄色調を呈することが多いが,黄色爪症候群でみられる爪の黄色変化は,爪甲内に蓄積したリポフスチンによるものとする説がある.
3.爪の緑色変化
緑色の爪はグリーンネイルとよばれ,緑膿菌が産生する色素が爪甲に付着することによるものである.
4.爪の紅色変化
爪甲自体が紅色調を呈することはまれであり,爪床に生じた変化が爪甲を通して見えている場合がほとんどである.
5.爪の褐色または黒色変化
①爪甲内に含まれるメラニンの量が増えるに従って,爪は褐色から黒色調を呈するようになる.正常な爪母にもメラノサイトが存在し,さまざまな理由でメラノサイトが活性化すると,メラニン産生が増加して爪甲内へ沈着する.②爪に強い外力が作用したあとなど,爪甲下に血腫が生じた場合にも爪は黒色調を呈する.
診断
1.爪の白色変化
爪の白色変化の原因として,爪白癬の頻度が最も高いと考えられることから,必ず真菌鏡検を行うことが大切である.爪乾癬でみられる爪甲白斑
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