診療支援
治療

爪の形態の異常
Abnormalities of nail shape
齋藤 昌孝
(慶應義塾大学専任講師)

病態

 爪(爪甲)の形の異常には先天性のものと後天性のものがあり,いずれも原因となる疾患は多岐にわたり形状もさまざまである.先天性の爪甲の形態異常には,限局性に末節骨の変形や欠損を伴って爪甲が変形する場合や,全身性疾患の症状の一部として爪甲にも形態変化がみられる場合がある.一方,後天性の爪甲変形は内因性および外因性の因子の影響を大きく受ける.例えば,爪母で炎症が起こると,爪甲を作るための正常な角化を遂げることができず不完全な爪甲が作られることになり,炎症の程度や範囲によって,爪甲表面の軽度の粗造化から著しく脆く崩れやすい異栄養状態まで,爪甲はさまざまな形状を呈する.また,爪母に問題がなければ爪甲は正常に作られるが,健常な形状を保ったまま伸長していくためには,近位爪郭や側爪郭,爪上皮,爪床といった爪甲周囲の構造物によるサポートが必要となる.さらに,足の骨や関節の異常,歩行時の荷重,靴の履き方な

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